ナショナル・シアター・ライブ

2020年08月10日

NTLive『スカイライト』

2014年の舞台『スカイライト』を、映画館で観てきました。
観られて良かった作品リストに、迷いなく追加です。






池袋のシネ・リーブル、半分の座席のみの販売ではありましたが、満席!
前評判も高かったので、観たいと思っていた方は多かったのですね。

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登場するのは3人の俳優、場所はアパートの一室のみ。
組み合わせを変えて2人ごとのやり取りで進む作品ながら、そこに過去の時間と、通り過ぎた人たちの思い、価値観のバトルが目まぐるしく浮かび上がります。

レストラン経営者として成功しているトムは、自分の元を去った不倫相手を訪ねる。
3年前まで彼女キーラは、トムと妻、子どもたちと一緒に住み、「家族のように」楽しく過ごしていたという。
ある日関係がバレてしまい、キーラは何も言わず家を出た。

妻はその後病気で亡くなり、2年が経つ。あわよくば関係を取り戻せないかと思っての、トムの来訪。

キーラが住むアパートは裏寒く質素、仕事は恵まれない家庭の集まる地域で、教師をしているという。
優秀な成績で大学を卒業し、自分のレストランでの働きぶりを知っていたトムは、ショックを受ける。
不倫相手という立場ながら、裕福な家に住み、幸せそうに過ごしていた彼女を、身近で長く見ていたのだ。
一緒に暮らしていた頃とは、あまりにも違う環境をなぜ彼女は選んだのか。

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ジョークをはさみながら恐る恐る近づこうとするトムと、続きを読む

akikoyanagawa at 18:54|PermalinkComments(0)

2020年08月01日

NTLive『橋からの眺め』

イギリス舞台を映画館で、のナショナル・シアター・ライブというプロジェクト。
もう長く続いているので、シェークスピア中心に、著名な作品を、斬新な演出やキャスティングで上演した舞台が揃っています。
ベネディクト・カンバーバッチのハムレット、イアン・マッケランのリア王、ジュディ・デンチの冬物語…

そもそも現地で人気すぎてチケットが取れない、または一時的な特別キャスティングのため、観ることが難しいものが、こうしてしっかりしたカメラワークで残っていて、映画館で楽しめること自体、ありがたいなあと数年前から通っています。

しばらくYoutubeでの週イチ無料配信をしていましたが、映画館での上映が増えてきました。
いまは、過去の作品を少しずつ観られる、毎年恒例の8月スペシャル期間中。
今日は『橋からの眺め』観てきました。池袋のシネ・リーブルにて。
(ひと席置きの配置のうち、半分以上はお客さん入っていたなあ…!人気。)

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アーサー・ミラーが1955年に書いた作品。
出身地イタリアから移住した夫婦が、同じくイタリアからやってきた親戚の移民を匿うことに。
夫婦は17歳になる姪を育てているが、やってきた移民の青年と惹かれ合い、娘のように思っている夫は理由のない怒りを覚えるようになる…。




年頃の「娘」的女性と、自分を父親と自覚するエディの、家族内で起こる普遍的なテーマと、立場が危うい移民の緊張したやりとり。
とことん、自分の「娘の彼氏への嫉妬」や「嫌悪感」に従順なエディは、一歩間違うと観客を敵に回すことになるけれど、マーク・ストロングという俳優さん演じるエディは、「うん…わかるよ、そりゃそう思うだろうね…」という、親近感も引き寄せてしまうんですよね。

怒りに燃える視線や、娘の反発に悲しむ眉毛の表情ひとつで、観る人の気持ちは翻弄されます。
映像かつ録画であっても、舞台に渦巻く感情のながれが目に見えるのは、俳優と制作陣の力あるからこそ。
毎回観終えるとき同様、今回も驚きと満足のため息をつき、席を立ったのでした。

マーク・ストロングさんのインタビュー。


来週はスカイライトを。
これも観た人が興奮して感想を語る作品。気になっていたので、楽しみです。

akikoyanagawa at 21:53|PermalinkComments(0)

2019年03月03日

NTLive『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』

ずうっと、誰かの言動にハラハラ、いらいら、そわそわさせられ続け、
そして最後に明かされる、違和感の根源。
訪れる朝、窓から差し込む光の圧倒的な美しさ。

観た人の感想に迫力があったので、迷っていたけれど行ってきました。
『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』
Who’s afraid of virgunia woolf?



【ナショナル・シアター・ライブ「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」】


映画館で舞台作品映像を観る「ナショナル・シアター・ライブ」NTLive。
休憩2回、3時間の舞台まるごとを映画館で。

3時間観たからこそ、クライマックスで心が震えました。
これは、たしかに、凄い芝居です。

大学学長の娘である妻に言わせれば、「負け犬」の夫は歴史学科の助教授。
悪態を付き合う壮年夫婦の家に、続きを読む

akikoyanagawa at 21:30|PermalinkComments(0)

2018年10月23日

NTLive 『フォリーズ(Follies)』

映画館で舞台作品映像を観る「ナショナル・シアター・ライブ」NTLive。
今回は『フォリーズ』。

TOHOシネマズ日本橋での上映は、2018年10月25日(木)まで。
そのほかこの時期日本での上演情報は以下。
【ナショナル・シアター・ライブ「フォリーズ」】

建て直されてしまうという劇場でさよならパーティ。そこに集まった、昔活躍したショーガールたち。
馴染みのある劇場を惜しみつつ、過去を懐かしく語り合ううちに、過去の良い思い出だけではなく、確執や後悔が垣間見えてきて…。
華やかさと、人生のビターな面を淡々と描く、ソンドハイムらしい作品でした。
最後の一瞬のシーン、無茶苦茶かっこよかったな…!



この作品、なかなか上演されない理由がよくわかりました。
「引退後、何十年も経ったショーガール」たちなので、主要キャストが全員壮年でありながらも、続きを読む

akikoyanagawa at 23:00|PermalinkComments(0)