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2019年01月19日

「廃墟の美術史」@松濤美術館

気になっていた「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」展、観てきました。
渋谷の松濤美術館にて。

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※展示室と他の人が入り込まないよう注意するという条件で、館内の様子と、この特設バナーのみ撮影OKでした。受付で案内してもらえるのはとてもありがたいです。

ご多分に漏れず、廃墟と聞くと興奮で胸が高鳴っちゃうのですが、同じような人たちが17世紀ヨーロッパにも、少なくない人数いたことを知りました。

その時代の人にとっての廃墟は、当時の遺跡発掘ブームに端を発していることもあって、主にローマ時代の神殿とか、使われなくなった修道院が中心だった模様。
お土産品としてのニーズが高く、好き嫌い関係なく廃墟の絵画が出回り、流行ったそうです。なるほどね。
でもそのおかげで廃墟を描くというジャンルが画一して、得意な画家も生まれました。

でさらに、
留学した日本の画家の興味を惹いたり、日本にやってきた絵の先生から、教材として廃墟をモチーフに絵を描くように言われて、描く人が増えたり。

現実にある廃墟を忠実に描くものから、そこにイメージを重ねたもの、さらにキリコやマルグリットなどの、シュールリアリスム的絵画に取り入れられたものと、いろんな方法での表現へと、廃墟をモチーフとした絵は広がっていきました。

私は、古代の廃墟よりも、使われなくなった工場など近代の廃墟が好きなので、古くからの廃墟の絵画を観つつも、最近の絵画を熱心に観てきました。

不染鉄という画家さんの、「廃船」。
【【奈良県立美術館特別展 没後40年 幻の画家 不染鉄⑨(産経新聞 奈良県専売会)】 《廃船》 他作品と一線を画する圧倒的な存在感を放つ異色作】
色数の少ない、暗いトーンの絵画ですが、重々しい風の感触が伝わってくるようで、良いなあと。

あとは、実在の街が廃墟になったら?という想定で描かれた元田久治さんのリトグラフ。
【元田久治作品集「NEO RUINS」(朝日新聞DIGITAL)】
朽ち果てた渋谷の街が仔細に描かれていて、美術館に来る前にまさに見てきた場所なだけに、とても不思議な感覚でした。
元田さんは武蔵野美術大学の現准教授。彼の作品をもう少し調べてみようと思います。

人が廃墟に惹かれるのはなぜだろう。と、説明書きで何度も触れられていて、おそらく、栄えたものも永遠には続かないという、栄枯必衰を思わせるからだと。

ふむ。
私が惹かれる理由は、朽ちる過程で偶然的に生まれる空間の味わい、かな。

そこにかつて人がいたという空気感と、秩序を失い、崩れた建物の、意図的には作り出せない形。
衰えていく儚さではなく、新たな創造への興味が、廃墟を覗きたいという動機になっている気がします。
後ろ向きというよりも、どちらかというと前向きの興味。

500円以上の価値のある展示でした。
また、こじんまりした美術館の佇まいも良いですね。
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今月いっぱいの公開。
14時過ぎに一気にお客さんが増えてきていました。
来週末は混雑するかも。




不染鉄之画集
不染鉄
求龍堂
2018-03-09


akikoyanagawa at 22:04 │Comments(0)

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