2013年04月17日

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」読了

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 [単行本]


4日ほどで読み終えました。安定の春樹ワールド。
ただし、年を経るごとに、混沌が混沌のまま放り出されることなく、構造が整頓されてきているかもしれません。霧が晴れる混沌と、そのまま、混沌のままにしておく、という振り分けがなされていて、物語の中の見通しがすっきりしている印象。
初期の混沌だらけの世界も好きでしたが、最近の作品はまた別の面でで惹かれるものを感じ、読み続けています。

36歳主人公の、心の冒険の物語。この長さの小説にふさわしいスケールの、静かながらも深い冒険です。
「村上春樹」作品は、

誰もが持っている心の奥深くの傷みや記憶を揺り動かす力がある。
多くの世代・いろんな国の人たちに読まれている理由はきっとそこにあるのでしょうね。

他の作品よりもしばしば、忘れていたたくさんの良いもの、つらいものが浮かび上がってきて、読むのを止めて考えこむこともありました。

そして他の作品以上に、なにもかもがすとんと腑に落ちました。
今のわたしが、つくるくんと同じ年齢だからこそ、自然に理解できる気持ちや状況がたくさんあったように思います。
数年前だったら、つくるくんの動揺や決断が理解できなかったり、沙羅さんの魅力の本質に気付かなかったかもしれないし、数年後だときっと、感じることが違っていたはず。

読む時期ごとに、目に留まる文章や、印象に残るシーンががらりと変わるのも、彼の作品が好きな理由のひとつです。また少ししてから読み返すことが楽しみです。

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