草原朗読会『羊をめぐる冒険』(1)〜到着、羊とご対面ネコ様の写真

2012年06月16日

草原朗読会『羊をめぐる冒険』(2)〜朗読会

広い青空の下、気持ち良い風とちょっと酔っ払ったいい気分で。
今回のツアーのメインイベントである、草原朗読会開始です。

空


まずは主催者Nさんがまずちょっと説明を。
この場所で朗読会をするということについて。

小説内で、『僕』が『鼠』を探して、一晩投宿する『十二滝村』。
十二滝村のモデルは美深町です!と村上春樹氏が言っているわけではありません。
ただ、小説に出てくる情報とこの美深町の情報が結構被るよね、と、この説は割りと有力なもののようです。支持している人のblogは以下。

【●村上春樹の「羊をめぐる冒険」を歩く -北海道編-】(東京紅團)
【記憶の中の風景 Vol.01『羊をめぐる冒険』の舞台?、仁宇布(にうぷ)へ】(FERIC)

(美深町には十六の滝があるので、十二滝村はもしかしたらここから命名されたのかも、などなど)。

その他にも、
Nさんはこのイベントの前、以前美深町に住んでいた、いわゆる「羊博士」的な方にお会いして話を聞くことができたそうで、曰く、小説が出版される前、村上春樹氏が話を聞きに夫婦で訪れ、村上氏は、羊のことをとても詳しく取材していったとか。
「羊博士」さんは、(この人羊牧場やりたいのかな〜)と思ったそうですが、あとから小説が送られてきて、はじめて取材の意味を知ったそうです。
その取材部分は、『十二滝村』で、『僕』が羊の飼育についていろいろ聞いている部分で使われているのかな。そんなことを考えながら読み直すのもまた楽しいですね。

さて。ここで朗読担当の、伊藤綾さんが登場。(旭川でラジオのパーソナリティをしてらっしゃるプロの方です。)

優しくゆったりした朗読で約40頁、『十二滝村』に『僕』がたどり着き、歩いて情報収集をするシーンを、みんなで一緒に堪能しました。約2時間。
朗読会


白樺の葉がさわさわと時々風に揺れる中、穏やかな声で読まれる、何度も目を通した好きな作品の世界。
ワインやビールが眠気を誘い、うとうとしている人も。
…え、あー、はい、私も後半記憶がありません…。。。(Nさんや伊藤さんも、寝ちゃってもいいですからね〜とはおっしゃっていたとはいえ…ちょっともったいなかったなあ、とも。でも気持ち良い一時でした。)

おなじ町内で、飼っている羊のお乳からチーズをつくっている『チーズ工房 羊飼い』もお試しセットを販売していて、ツアーでお会いした人と分けていただいたりもしました。
チーズ


寝ていたはずなのに、朗読会が終わってみると、しっかりチーズは食べ終えていました。ははは。
さっぱりフレッシュ、癖のない食べやすいチーズでした。

* * *


今回朗読した伊藤綾さん、この話を引き受ける際に、一度は断ろうと思ったとのこと。
というのも、「小説はそれぞれ、読者が自分の頭の中でイメージを描いて、その世界を楽しむもの。たとえば私の声で読むことで、その世界観を変えてしまったり、固定してしまうのではないか。読んでいる人の楽しみを変質させてしまうのではないか。そうしたくないと思ったんです」

でも一方で、舞台と思われる場所で、そこが描かれた部分を朗読する、という趣旨に惹かれ、結局は「やってみようか」と、引き受けることになったと。
(※ちょっとこのあたり、もしかしたら後で修正するかもしれません。うろ覚えなので…)

なるほど…確かにリズムや読み方が、私のイメージとは違っていたかもしれませんが、そこはプロの話し手さん、あくまでストーリーを読み上げるという「ただの声」に徹していたため、そこに彼女の作り出すイメージは入り込んで来ませんでした。

どちらかというと、周りの風の音、空気感、羊が後ろにいるという感じの方が、もっと強烈な印象でした。
ただそれは、今まで私がこの作品を読んで持っていた世界観を変質させるというものではなくて、コアの部分はそのままに、さらに鮮やかな色をつけ、奥行きをぐんと広めてくれました。
よりその世界が近づいて、自分がその中にすぽっと入り込んでしまったようで、なんとも不思議で心楽しい時間でした。

たんぽぽ


海外では朗読会は多く開かれていて、こんなふうに屋外で特定の人が読んだり、みんなで順番に読んだりするそうですね。
こういった機会が増えると、本を読むということに、さらに面白い側面を見つけられるようになるかもしれません。(つづく)
akikoyanagawa at 23:40 │Comments(0)TrackBack(1)

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