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2011年07月14日

映画と小説それぞれの「シャイニング」

スティーブン・キング作の「シャイニング」。

映画を最初にみて、
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その後、小説を手に取りました。

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読んでびっくり。
映画と小説、それぞれまんなかに据えているものが全く違っていました。

**以下ネタバレ注意**




ストーリー展開、出てくるキャラクターはほぼ一緒です。
(最後が大幅に違いますが…そこは観て・読んでのお楽しみ。)

が、映画と小説では、「これがこの作品の根幹である!」という解釈が異なっているように思いました。

映画ではそれが、抗えない強い力を持つ古いホテル。その不気味さ、恐ろしさがスタンリー・キューブリック監督のひやっとした映像で印象的に描かれています。
長く建っているその建物が、静けさの中、徐々に本性を現してくる不穏な感じ。どこかから見られているような気配。ビビットな色合いもインパクトが強いですね。

一方小説では、どこにでもある…と言うのは語弊があるけれど、必ずしも特殊とは言えない、家族の問題を抱えている一家がその中心にあります。
そのさらに真中にいるのが、6歳のダニー少年。時に現実に背を向け、自分の無力さに絶望しながらもホテルに立ち向かい、少しずつ成長していく姿を、私たちは応援することになります。
映画ではちょっと頼りなかった母親ウエンディは、小説では思慮深く、我慢強い聡明な女性。
そしてホテルに取り付かれてしまう父親ジャックについても、ただ単に「執筆がうまくいかずイライラしているところをホテルにつけこまれて」気が触れたということではなく、なぜそこまで自分を追い込んでしまったのか、本人のなかでの立ち直ろうとする葛藤も含め、細かく説明されていて、それだけにホテルの力の恐ろしさを感じさせています。

「世の中は不条理なことがたくさんあるけれど、それでもなんとか前を向いて歩いていかなくちゃいけない。」
小説で最後に見えてくるメッセージ。
ダニーは6歳でそれを知ることになるなんて酷だなあ、と、読んでいて泣きそうになりました。

村上春樹氏の小説にも同じようなメッセージがよく出てくるよね、と友達と話していて思い出しもしました。
彼もS・キング氏の小説をよく話題に出していますが、通づるものがあるのかもしれませんね。

ちなみに聞いた話によると、S・キング氏はこの映画化作品を見て納得行かない!と、ドラマ版を作ったとか。
そしてそのえらく長いドラマ版をみた人によると、そのドラマ版はたしかに小説に近い格好ではあるけれど、その分映像作品としてのクオリティが残念、との声が多く見られました。

映画版は、時間的な都合で説明をかなりはしょってるし、作品のコアになる部分に違いがあるように見えるのですが、とはいえ、小説内で出てきたエピソードをかなり積極的にちりばめてあったり(映画では断片過ぎてなんだこれは?と思う部分に、小説ではきちんと説明がついていてはじめて納得…ということが多々ありました)、描写もかなり小説に忠実に感じました。

ひとつの物語の世界を、違う角度から観ているずれ、が、映画と小説にはあったように思います。
が、あれだけ質が高ければ、映像の思い切りの良さも面白い。双方を観て、双方ともにアリだな、というのが感想でした。
こうなったらドラマ版も観てみようかな。
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*****
引き続き、S・キング作「IT」読み始めていますが、これまた引き込まれちゃっています。
ホントこの人の筆力に敬服。
翻訳されている文章で、しかも違う国の違う文化が舞台なのに、その情景や湿度やにおいまで、目の前手の届くところにありありと浮かんでいるように感じるんだよなあ!

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途中で止めるの禁止!と言われ(何故!?)、半分泣きながら観たとう友達に言わせると、映画半端無く怖いらしい。【→追記:本人のblogに詳細がアップされていました。】
…とりあえず小説だけにしておこう。うん。

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akikoyanagawa at 02:37 │Comments(0)TrackBack(1)

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1. 図書館奇譚 〜本当にあったスティーブン・キング  [ あひるちゃんがゆく ]   2011年07月15日 05:05
先日友人のおすすめで、シャイニングを読みました。 シャイニング〈上〉 (文春文庫)著者:スティーヴン キング販売元:文藝春秋(2008-08-05)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見るシャイニン ...

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