2020年08月10日
NTLive『スカイライト』
2014年の舞台『スカイライト』を、映画館で観てきました。
観られて良かった作品リストに、迷いなく追加です。
池袋のシネ・リーブル、半分の座席のみの販売ではありましたが、満席!
前評判も高かったので、観たいと思っていた方は多かったのですね。
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登場するのは3人の俳優、場所はアパートの一室のみ。
組み合わせを変えて2人ごとのやり取りで進む作品ながら、そこに過去の時間と、通り過ぎた人たちの思い、価値観のバトルが目まぐるしく浮かび上がります。
レストラン経営者として成功しているトムは、自分の元を去った不倫相手を訪ねる。
3年前まで彼女キーラは、トムと妻、子どもたちと一緒に住み、「家族のように」楽しく過ごしていたという。
ある日関係がバレてしまい、キーラは何も言わず家を出た。
妻はその後病気で亡くなり、2年が経つ。あわよくば関係を取り戻せないかと思っての、トムの来訪。
キーラが住むアパートは裏寒く質素、仕事は恵まれない家庭の集まる地域で、教師をしているという。
優秀な成績で大学を卒業し、自分のレストランでの働きぶりを知っていたトムは、ショックを受ける。
不倫相手という立場ながら、裕福な家に住み、幸せそうに過ごしていた彼女を、身近で長く見ていたのだ。
一緒に暮らしていた頃とは、あまりにも違う環境をなぜ彼女は選んだのか。
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ジョークをはさみながら恐る恐る近づこうとするトムと、
観られて良かった作品リストに、迷いなく追加です。
池袋のシネ・リーブル、半分の座席のみの販売ではありましたが、満席!
前評判も高かったので、観たいと思っていた方は多かったのですね。
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登場するのは3人の俳優、場所はアパートの一室のみ。
組み合わせを変えて2人ごとのやり取りで進む作品ながら、そこに過去の時間と、通り過ぎた人たちの思い、価値観のバトルが目まぐるしく浮かび上がります。
レストラン経営者として成功しているトムは、自分の元を去った不倫相手を訪ねる。
3年前まで彼女キーラは、トムと妻、子どもたちと一緒に住み、「家族のように」楽しく過ごしていたという。
ある日関係がバレてしまい、キーラは何も言わず家を出た。
妻はその後病気で亡くなり、2年が経つ。あわよくば関係を取り戻せないかと思っての、トムの来訪。
キーラが住むアパートは裏寒く質素、仕事は恵まれない家庭の集まる地域で、教師をしているという。
優秀な成績で大学を卒業し、自分のレストランでの働きぶりを知っていたトムは、ショックを受ける。
不倫相手という立場ながら、裕福な家に住み、幸せそうに過ごしていた彼女を、身近で長く見ていたのだ。
一緒に暮らしていた頃とは、あまりにも違う環境をなぜ彼女は選んだのか。
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ジョークをはさみながら恐る恐る近づこうとするトムと、
キーラの警戒心、ちらちらと見え隠れする過去と愛情。
駆け引きと、会話の中に見える光景が時に輝き、虚しく薄れ。見事でした。
勝手なことを言うなあ、と最初はトムの態度と言い分、金持ちにありがちな傲慢さに、冷ややかな目を向けていたのですが、
口論を聞いているうちに…だんだんトムの言うことや価値観に共感を覚えていることに気づき、そんな自分に驚きました。
「君は、貧しい地域に住み、その人たちの価値を見出したと言う。でもひとつ大きく違うことがある。
君は選んでここに住んでいる。でも周りのみなは、ここから抜け出したいと思っているんだよ。」
企業で成功している人たちが、エッセンシャルワーカーや恵まれない環境の人たちを見下している、というキーラ。
でも、彼らを助け導いて「あげる」ことに、生きがいを見出している彼女こそが、見下しているのではないか。
もしくは利用しているのかも?
キーラの、トムたち裕福な経営者たちを「何もしない言葉だけのリーダー」と畳み掛けるように非難するセリフに、観客はわき、拍手が起きましたが、うーん、わたしがあの観客席にいたらどうしていただろうな、と考えてもしまいました。
また、『スカイライト』というタイトル。
話の中に出てくる「天窓」から取ったのだとは思うのですが、トムとの関係を深めることを恐れ、いつまでも幸せな家庭を「窓越しに」覗き見るような距離感だけを求める、キーラの様子を表しているのかな…そんなこともふと思いました。
あれこれ考え、時に涙し、予想通りの終盤。
ただ最後に、心温まるシーンが用意されていて、この作品の評価が更に上がりました。
名作だという評価に、心から賛同です。
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デヴィッド・ヘアー原作、スティーヴン・ダルドリーが演出。
キャリー・マリガンがキーラ、ビル・ナイがトム、2人のやりとりだけで何度も心が動かされました。
マシュー・ビアードの演じるエドワードも好感。
育ちの良さ、何もわかっていないふりをしながらも、人の関係に敏感な青年の雰囲気に、ほのぼのしました。
駆け引きと、会話の中に見える光景が時に輝き、虚しく薄れ。見事でした。
勝手なことを言うなあ、と最初はトムの態度と言い分、金持ちにありがちな傲慢さに、冷ややかな目を向けていたのですが、
口論を聞いているうちに…だんだんトムの言うことや価値観に共感を覚えていることに気づき、そんな自分に驚きました。
「君は、貧しい地域に住み、その人たちの価値を見出したと言う。でもひとつ大きく違うことがある。
君は選んでここに住んでいる。でも周りのみなは、ここから抜け出したいと思っているんだよ。」
企業で成功している人たちが、エッセンシャルワーカーや恵まれない環境の人たちを見下している、というキーラ。
でも、彼らを助け導いて「あげる」ことに、生きがいを見出している彼女こそが、見下しているのではないか。
もしくは利用しているのかも?
キーラの、トムたち裕福な経営者たちを「何もしない言葉だけのリーダー」と畳み掛けるように非難するセリフに、観客はわき、拍手が起きましたが、うーん、わたしがあの観客席にいたらどうしていただろうな、と考えてもしまいました。
また、『スカイライト』というタイトル。
話の中に出てくる「天窓」から取ったのだとは思うのですが、トムとの関係を深めることを恐れ、いつまでも幸せな家庭を「窓越しに」覗き見るような距離感だけを求める、キーラの様子を表しているのかな…そんなこともふと思いました。
あれこれ考え、時に涙し、予想通りの終盤。
ただ最後に、心温まるシーンが用意されていて、この作品の評価が更に上がりました。
名作だという評価に、心から賛同です。
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デヴィッド・ヘアー原作、スティーヴン・ダルドリーが演出。
キャリー・マリガンがキーラ、ビル・ナイがトム、2人のやりとりだけで何度も心が動かされました。
マシュー・ビアードの演じるエドワードも好感。
育ちの良さ、何もわかっていないふりをしながらも、人の関係に敏感な青年の雰囲気に、ほのぼのしました。